僕たちのミッション+3kg
大学を卒業すると、皆が同じように悩み出す。
太った。
と、口を揃えるのだ。
それぞれの音程で、「太った」と。
それぞれがそれぞれの増量を持っており、1キロ増えるたびに自殺を考える女子もいれば、10キロ近く変化してなお、泰然自若としている者さえ。
僕は、だいたい7キロくらい増やした。
増やした、というのは意図あっての物言いになってしまう。
7キロ増えてしまった。
いや、気づいたら、7キロ増えていた。
心当たりと言えば、日々の食事の数だけある。
星の数にほど近いと言っても、過言ではない。
つまり、食事とは星である。
一昨日の食事を思い出すということは、丘の上からあの子と一緒に星を数えたことを、ふと思い出してしまうことと同義であり、
次の食事を考えるという事は、未だ見ぬ彼方の住人に思いを馳せることと変わらない。
それぞれが胃袋の中に銀河を宿し、「今日はどれにしようかな」ってな具合で、お気に入りの星をひとつまみ。
そうやって、自分の中の星を増やしていく。
おそらく人間はそうやって文明を創ってきた。
まあつまり、おなかが空くと、ラーメンや餃子を食べてしまうと言うことだ。
原因も胃袋も掴んでいる。
とはいえ、このままではいかん!と思うワケだ。
なぜなら、デブはモテないからである。
人間を肥満から遠ざける理由が他にあろうか。
役者だとか、スポーツ選手だからとか、いろいろ思いつくには思いつくが、そんなこと関係ない。やっぱり、みんなモテたいのだ。
僕には、スポーツマンかつ、役者のたまごでありながら、太っている友達がいる。
彼はジムに通い続け、あまつさえそのジムで働きだしてしまった。
彼の原動力はスポーツではない。「モテたい」だ。と、思う。
とにかく人生モテないことには始まらない。
自分が受けとった種のバトンを繋ぐという壮大なミッションから、日本が直面する社会問題 OF 社会問題、少子高齢化に対抗するためにも、まずモテなければならない。
これは、個人の願望とは一線を画している。
モテたい。のではない。
モテなければならない。のである。
結局、なにが言いたいかというと、
大して食べてもいないのに(ほんとに!!)
一晩でぴったり3キロ増えていたことに、納得がいかないのだ。