思い出せ!あの子の香り!!

匂いは記憶と密接につながっている。

それは主に、付き合っていた人との思い出だったり、好きだった人の記憶であることが多いように思う。

けれど、その人の事を思い出していたとしても、その匂いを思い出す事は出来ない。

匂いは記憶を宿すが、記憶に匂いは宿らないのだ。

レモン、バラ、せっけん、と言葉に置き換えることは可能だけれど、脳みそにも鼻先にも、ちっとも感じやしないのだ。

 

それは、匂いが単一の情報だからではないかろうか。

試しにコンクリートの感触を思い出そうとすると、表面の凹凸や温度を感じることができた。正確に言えば、実際に感じたわけではないが、頭の中で再現はされる。

自転車のハンドルや他人の手のひらだって、同じように感触と温度を思い出す事が出来る。

感触×温度というかけ算によって、情報の信憑性が高くなっているのでないか。

 

でも、中には匂いを完璧に思い出すことができる人もいるのかな。

写真を撮るように、見たまま記憶できる人もいるし、絶対音感だってある。

絶対音感は比較的持っている人が多いような気がするから、感覚にはなんらかの序列があるのかもしれない。

いずれにせよ、記憶する能力とアクセスする能力の組み合わせだろう。

まあ、こんなこととっくに研究されていて、ちゃんとした資料を読めばわかることだと思うけど。

 

匂いを思い出すことができる人がいるとすれば、ものすごく羨ましいなあ。