used power

僕は「抗議活動」に参加したことが無いな、と、

経済産業省の前を歩いている時に気がついた。

 

建物の前では、みな思い思いの抗議活動を行っている。

大抵の場合は、昼間から幟を掲げじっと椅子に座っている。

一人でハンガーストライキをやっているおじさんや、

拡声器でなにかを訴え続けている人もいる。

今日は、"Stand by Me"の替え歌で、多分原発について歌っていた。訴えていた。

悪態をつきながら、早足に通り過ぎるおじさんも混ざっていた。

全部で50人近くいたと思う。

 

その多くが、50〜70歳くらいのお年寄りだ。

だからどうって事も無いんだけど、”若い人”は一人も見たこと無い。

お年寄りが叩く太鼓の上で、お年寄りがギターを鳴らし、お年寄りが力強く歌っていた。

どこか、衝動に任せてパワーコードを掻き鳴らし、精一杯なにかを主張しようとする中学生と、重なって見えた。

たむろしながらヤジを飛ばす不良にも見えたし、

クラスの風紀を気にかける優等生のようにも見えた。

 

 

僕はその小さな人波の中を、緩やかに通り過ぎるだけだった。