優良ドライバー 赤井大祐の悩み

土曜日
運転免許の更新をしようと思い調べて見ると、どうやら土曜日の更新はあらゆる会場において一切受け付けていないということが判明。免許取得から5年を経てほどほどに運転しつつも、優良ドライバーの評価をゴールド免許とともに大股で受けとりに出向こうと思ったのに、とても残念である。なぜ日曜でなく土曜だけなのだろう。

 

仕方ないのですこし時間を潰したのち、『大人は判ってくれない』を見に初めての早稲田松竹へ。映画好きが必ず通うという場所だが、劇場自体にはいたって普通のミニシアターだった。前の回を見終えた客の中に、秀平とひかりんがいたので声をかけたら、少しだけびっくりしたような、だけどあらかじめ答えを分かっているような口ぶりで「一人?」と聞かれ、少しだけ笑われたのだった。
ひかりんは、卒業以来の再会にも関わらず僕のことは殆ど見ることなく、しかし僕に対して映画の落ちを話したいがネタバレになってしまうから駄目だ!といつものテンションで嬉しそうにしていた。それを見て、(ひかりん髪の毛めっちゃ伸びたな)とか考えながら、僕も少しだけ嬉くなっていた。

 

劇場を出た後、修理に出すために持って来ていたベースを見て貰うために、大久保の石橋楽器だかクロサワ楽器だかへ。(どっちだか忘れてしまったけれど、やっぱりどっちでも良かった。)見て貰うと「ほんとにただアースがつながっていないだけで、ただ当店ですとどうしても配線作業扱いになってしまうので、、、3240円かかってしまうのですが、、」と申し訳なさそうに、しかしこの程度で店にくるなんてバカなのか、といった表情をされてしまった。

とはいえ、はるばる担いで来てしまった手前、「じゃあ自宅で頑張って見ます!」と元気いっぱい断る気にもなれず、結局その場で修理をしてもらった。
ベースを完璧に修復されており、自分でやったらここまでキレイはなおらなかっただろう、と一応自分に言い聞かせ事なきを得る。モノを知らないとその分金銭が発生するという、当たり前の社会の仕組みを改めて実感。(というかモノを知っていると、それだけでお金が生まれることがある。)勉強は大事ですな。


日曜日
今日こそ免許の更新を!と思っていたが、予定が前倒しになったため、延期。
迫るリミット。更新が遅れてしまったら、やはり優良ドライバー返上なのだろうか。約束を守れない奴は不良か。そうか。非常に悩ましい。

 

午後からは日記にたびたび登場する、「アプリで出会った女の子」と『谷川俊太郎展』へ。
アプリを介して出会ってしまった、という若干の後ろめたさは殆ど消えたなと気づく。思ってたよりも、出会い方というのは重要では無いのかも知れない。付き合って見ると、なにかとんでもないことに気がついてしまうのだろうか?
展示はまあ、なかなかステキでした。


一つ目の部屋にあった展示が、音楽:Cornelius、映像:中村勇吾、詩:谷川俊太郎という間違いない、というか間違いようが無い布陣によるインスタレーションだった。部屋を囲むように設置された20〜30機のスピーカーから谷川本人による詩の朗読や、断片的な単語が時計周りだったりランダムだったり、色んな方向から次々と流れ、各スピーカーの上に同じ数だけ設置されたモニターから、音に合わせてめまぐるしく明滅する文字と多彩な光が次々と現れては消えていった。ずーっとあの部屋にいる部屋担当兼警備的な役割の施設のお姉さんは疲れないのだろうか。

 

せっかくなので、僕の好きな谷川俊太郎の詩を載せてみます。ブログに詩を引用してしまうとさすがにちょっと恥ずかしすぎるので、あくまで紹介。

 

 時 <谷川俊太郎
 あなたは二匹の
 うずくまる猫を憶えていて
 私はすり減った石の
 階段を憶えている

 もう決して戻ってこないという
 その事でその日は永遠へ近づき
 それが私たちを傷つける
 夢よりももっととらえ難い一日

 その日と同じように今日
 雲が動き陽がかげる
 どんなに愛しても
 足りなかった